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(ライター:山浦雅香)

7月もシンフォニアリアル講座を開催しました。

第7回目の今回は音楽ライターの白沢達生さん@t_shirasawa)を講師にお招きして「17-19世紀の歴史音楽」をテーマに、たっぷり2時間お話をいただきました!

当時の絵画を資料に

  • 当時のバイオリン楽器が貴族にとってどのようなものだったのか
  • ヨーロッパのどこからどこへ音楽の流行が伝播していったのか
  • 誰が作曲したどのような音楽があったのか(須賀さん演奏)

といったことを解説いただき、曲は実際に須賀さんが演奏しました。

時間と場所の移り変わりを追いかけ、バイオリンを用いた楽曲の流行や、バイオリンの演奏技法について理解できる豪華なレクチャーとなりました。

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▲左が白沢達生さん、右が須賀麻里江さん

お話の余韻にひたり、お二人の写真を撮り忘れたことに終了後の駅前で気づき、駅前で撮影になってしまいました。すみません(・・;)


音楽講座シンフォニアでは、ゲストのプロ奏者や主催の須賀さんの生演奏をはさみながら音楽に関連した知識をシェアしています。月額5,000円、会員限定の動画配信もあります(講義に出席できなくても後日視聴できます)

月額会員だけでなくビジター価格(3,000円)の設定もあります。ぜひ足をお運びいただければ幸いです。

●月額会員の申し込みはこちらから。シンフォニアのコンセプトなど詳細も公開されています。(須賀麻里江公式サイト)

私のSNSにも動画や写真をアップしているので、ぜひハッシュタグ #須賀麻里江シンフォニア からご覧になってみてください。

※基本的に生配信と後日の動画リンクをお送りします。リアル講座に参加できない場合にもこちらから講座の内容を視聴できます。資料のデータもメールにてお送りします。

■天使の奏でる中世フィドル、たどる歴史は「貴族の記録」

バイオリン好きな方ならよくご存じの?ヨーロッパ各地に古くからあった中世フィドル。こちらがバイオリンの原型だとする説があります。

初期のバイオリンについて調べる時の記録というと、絵画があります。ここで注目すべきは、初期のバイオリンを奏でているのが天使だということだそうです。


神様に捧げる大切な音楽を奏でるものとして、中世フィドル(バイオリン楽器)は使われていたといいます。


中世フィドルの演奏も、白沢さんの準備いただいた資料で再生いただきました。

後半に説明いただいたのですが、弓の形から、音の立ち上がりがあまり早くないのが特徴です。バイオリンのように、あごでしっかりはさむのではなく、肩に載せる形で演奏したそうです。

これがだんだん変化していき、形の変化だけでなく庶民が手に取る楽器となったことが、その後の記録でわかります。こうした記録もやはり絵画に記録されていて、描かれる媒体も教会の天井から油彩画のキャンバスへと変わっていきました。

庶民…とはいうものの、その後白沢さんがTweetで補足説明をしてくださっていました。以下のツリーでレクチャーの補講がチェックできます!(歓喜!)




■ヨーロッパの文化交流「フランスいけてる」「ドイツいけてる」「イタリアびみょう」!?

バイオリンはイタリアからヨーロッパの他の地域に広まっていきます。16世紀のフランスでは文化の交流が広くあったそうです。

しかし!そんな中でフランスではイタリアのバイオリン音楽を「いけてない」としたり、ドイツでは「自分は今注目されているバイオリン演奏とは一線を画すのだ」とする作曲者でバイオリニストのハイリッヒ・ビーバーが登場したり、地域ごとの主張が強かったようです。


ルイ14世が亡くなると、フランスがイタリア人のバイオリン音楽に傾倒していったといいます。きっかけとなったのは1653年生まれのコレッリで、イタリアバイオリン音楽のキーパーソン。

コレッリの亡くなったのが1713年で、世紀の変わり目とあって彼の作品を「17世紀を総括する古典的音楽」として表現できたのも普及のポイントになったとか…作品をどう見せるか、ということは、今も中世も、流行を左右する重要なポイントだったんですね。

■練習曲まで美しい…須賀さんのバロックバイオリン演奏
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神にささげる音楽を奏でていたり、弾けることは宮廷人のとして当然できるべきこととされたりと、何かと高尚な存在とされるバイオリンですが、どこでも弾けることや曲芸的なことにも向いているのはバイオリン音楽につながるフィドルの特性で、そういう点では高尚なもの扱いではないバイオリンの在り方もあった…という白沢さんの言葉が胸に残りました。

貴族のたしなみとしてバイオリン音楽に対する需要も高まります。今でも練習曲として残っているクロイツェルの練習曲は、今回レクチャーの中で須賀さんの演奏で参加の皆さんにお楽しみいただきました。


これ以外にも何曲も演奏してくれました(須賀さんもお疲れさまでした…!)

個人的にはハインリヒ・ビーバーのパッサカリア(少し長いけど…と須賀さんが説明入れてから演奏)、聴いているとなんだか、じん、とします。バイオリン一つがつむぎだす音に、本当に生まれてから死ぬまでの人の歩みのような、壮大な風景が見えるようです。理由はわからないけど、励まされるような心地がしました。

「高尚」という表現で距離をとってしまうのは惜しいけれど、やはり凡人にはまねできない、知識と技術を備えた音楽家の演奏にはハッとさせられるものがあるんだなあ、と、何度も思わされるレクチャーでした。


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今回もお茶タイムを設けました。メロンパンは会員さんが有名店で手に入れてくださったという差し入れです、感謝いたします!

奥に見えるのはイタリアの食品。須賀さんの演奏旅行先のお土産です。



●月額会員の申し込みはこちらから。シンフォニアのコンセプトなど詳細も公開されています。(須賀麻里江公式サイト)

●第一回講座のレポートはこちら(外部のブログが開きます)
月額音楽講座「シンフォニア」1月に参加しました!【バイオリン】